心のフラッシュバックとは

心と身体

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心の〝フラッシュバック〟とは
目の前の・今の出来事を体験している背後で
過去の体験感情(トラウマ感情)が
反復想起されている状態です。
それにより様々な反応が引き起こされます。

Image for decoration(夏の草叢)

心のフラッシュバックとは

心のフラッシュバックとは
過去の体験を連想させるような何か
(状況だとか言葉・音 等々)に遭遇した時に

(これをトリガー/引き金と云います)

あの時の体験感情
(恐怖・不安・悲しさ・悔しさ 等々)
突然襲われることで

様々な心身の反応を
引き起こす状態をいいます。

目の前の出来事の背後で

目の前の・今の出来事を体験している背後で
過去の体験感情(トラウマ感情)が
反復想起されている状態です。

それによって
様々な心身の反応を引き起こす状態です。

Image for decoration(野の花)

さまざまな反応

たとえば
頭が真っ白になったり。
動揺して混乱状態になったり。

強い不安や緊張が引き起こされたり。
恐怖に襲われ平常心を失ったり。

傷つき感情の直後に
衝動的な怒りが湧きあがり

場合によっては
激しい感情的な言動を爆発させたり。

相手からしてみると
「そんな事くらいで、どうしてそこまで!?」・・・となって、関係が壊れてゆく場合があります。

ひどく辛くなったり苦しくなって
そこから逃げ出したくなったり。

(立ち去れるような場合には)
突然その場から立ち去ったり。

全否定された様な思いに突き落とされて
みじめで絶望的になったり。

もちろん、起きてくる反応の程度は
軽微なものから強いものまで様々です。

心の防衛反応

ただ、誤解されないために申し上げると

フラッシュバックそれ自体は
決して異常なものではありません。

本来は『自己防衛』のための仕組みとして
誰の心にも同じ仕組みが存在します。

ただし
フラッシュバックによって引き起こる反応が強い場合には、本人自身が苦しくなりますし

同時に
人間関係や仕事の妨げとなったり。
人生に大きな影響を及ぼしたり。

生きづらさにつながるケースがあります。

Image for decoration(紅葉の樹と落ち葉の絨毯)

二つのフラッシュバック

フラッシュバックには
二つの形があります。

ひとつはには
心傷体験の記憶や情景も想起されるもの。

もうひとつは
情動や感情だけが反復想起されるもの。

情動とは、感情のより激しいもので
瞬時に自律神経系に影響を及ぼして
心・身の反応を引き起こします。

カウンセリングで出会うフラッシュバックの殆どは、実は二番目の形のものです。

ある老人の話

あるときテレビに
住宅街での爆発火災のニュースが流れ
現場の近所に住む老人が

爆発音を聞いて、太平洋戦争の時の東京大空襲の情景を思い出して、とってもこわかった
TVカメラの前で震えながら
そう語る姿を見たことがあります。

女優・荻野目慶子さんの体験

  荻野目慶子の写真

女優の荻野目慶子さんが
ご自分の体験を雑誌に記しています。

荻野目さんはご自分のマンションの部屋で、交際相手が自殺しているのを発見します。

荻野目慶子
『自殺で残された側は』

例えば、ある音が耳に入ったとする。それが記憶・・・故人の思い出につながるようなものだとすると、途端に血液が逆流するような気分に襲われ、呼吸が激しくなり、涙が止まらなくなる。
音だけでなく臭い、視覚的なもの・・・ハンガーやフックなど日常にありふれた物にも、次々と連鎖反応が起こり、何を見るのも怖くなった。

荻野目さんの場合には
スキャンダルとして扱われ、生きる上で窮地に立たされた。
・・・と書かれているように

芸能人という立場ゆえに
その後に襲いかかってきた様々な出来事が
ショック体験に追い討ちをかけ

フラッシュバックを更に深刻にしたことが
想像できそうです。

情動だけが反復想起される

しかし実を云うと
上の老人だとか荻野目さんの様に

原体験をご本人自身が認識する形のフラッシュバックは、どちらかというと少数派になります。

上にも記したように
わたしがカウンセリングで出会う
フラッシュバックのほとんどが

情動(感情)だけが反復想起
される形のために

背後でフラッシュバックが起きている
と気づくことは
ご本人自身も難しくなります。

神田橋條治 精神科医
パニックや衝動的反応がみられたときには、フラッシュバックではないかと、まず考えてみてください。
フラッシュバックという言葉が映画に由来するので、視覚イメージだとみんな思っているでしょ。そうじゃないんですよ。

しかも、フラッシュバックとなる体験も
実生活からかけ離れた出来事ではなく

生活の営みの中で・
普段の人間関係や出来事の中で
作られているものです。

三島由紀夫の談話

三島由紀夫の写真

作家の三島由紀夫が
あるインタビューの中で
このようなことを語っています。

体験ていうのは誰でもあるんですけども、それじゃあ、たとえば死にそうな体験をしたとか、エベレストに登って落っこちそうになったとか、そういうのばかりが〝体験〟ではないんですよね。
〝体験〟ていうのは分からないところに隠れていて。
たとえば、道を歩いている時に、ちょこっと小石につまずいて・・・
その小石というものが、人生で大きな意味を持っちゃうことがある。小さな石がね。

情動反応の故に

心のフラッシュバックとは
過去の体験感情が反復想起されることで

様々な心身の反応が引き起こされる
「情動反応」のことです。

情動反応ですので、
「気の持ちよう」
「考え方を変えてみる」などで
解決されるものではありません。

しかも、養老孟司さんが語るように

トラウマ感情は
一瞬の無意識のうちに刻み込まれために
本人にも分かりません。

たとえば長年、苦しみ悩んでいたことが
フラッシュバックであると分かって
次のように語った方がいらっしゃいます。

そういう時には皆んな、自分と同じようになるんだと思ってた。でも他の人たちは、それを表に出さずに普通に振る舞えてる。わたしはそれが出来ずに混乱したり泣き出したりして、周りの人に迷惑をかけてしまう。
だから自分はダメで劣っている、と思って来たんです。

Image for decoration(秋の落ち葉の集まり)

回復のために

フラッシュバックからの回復には

それはフラッシュバックである
・・・と理解することが
とても大切な一歩になります。

カウンセリングにいらしゃることで
初めて分かる方たちは少なくありません。

そしてフラッシュバックからの回復とは
思い出さなくなること
・・・ではありません。

少しずつ、一歩ずつ
その体験をご一緒に語り合いながら

トラウマ感情を
整理・消化 (昇華)してゆくことで
他の記憶の中に同化してゆくこと・・・

記憶や思い出には
楽しかった事もあれば、悲しかった思い出・辛かった記憶もあります。

それらの一つになってゆくこと。

フラッシュバックの治療とは、その体験から自分にとっての大切な〝何か〟を得られるようになる・・・それがフラッシュバックの治療の本来の姿です。
神田橋條治 精神科医

『ご相談者からの言葉・感想』から
先日、夫の浮気によるフラッシュバックでご相談させていただいた○○です。
その後、お陰様でだいぶ落ち着いてきて、今もたまに動悸はありますが、いろいろと自分で先のことを考えられるようになり、客観的に見れるようにもなりました。
そこで、今後どのような夫婦関係で向き合えば良いか、相談したいと思います。

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