愛情過多症について


ここでは『愛情過多症』と呼ばれる
心と行動のパターンについて
カウンセリングの立場から記しています。

愛情過多症とは

『愛情過多症』とは、
本当は自分自身が傷ついている心を抱え

傷ついている人をお世話することで
自分を癒す代わりをしようとする

無意識の行動パターンを云います。

つまり『代理行為』を意味しています。

たとえば、
傷ついている人、困っている人をお世話していると何故か心が落ち着く、安心する
・・・という項目に○を付ける人は

程度の差こそあれ
愛情過多症の心を抱えているかも知れません。

「おせっかいな人」と云われたり
そう思われている人の中にも
愛情過多症の人がいる場合があります。

関連ページ
▷▷【心のパターン】について

| 自分を癒すための行為 |

自分を癒す代わりの行為とは
愛情過多症の形ばかり、ではありません。

人によっては、たとえば
「肩書き」や「地位」だとか

それに類するものを求める行動が
代理行為となっている場合があります。

あるいは、人との関係を離れて
物との関係に向かう人もいることでしょう。

物との関係(物への偏愛)を
代理行為としているケースです。

このように
様々な在り方が存在します。

    

代理行為の問題

愛情過多症に限らず

残念なことに、『代理行為』からは
真の充足を得ることはできない

・・・という現実があります。

〝代理〟であるが故に

どこまでやっても
「もうお腹いっぱい、もうここ迄でいい」
・・・とはならずに

比喩的に表現すると
食べても食べても、ひもじさ(空腹感)が
真に満たされることはありません。

そのため、その行為は
反復され続けることになります。

| 代理行為による反復強迫 |

愛情過多症から少し離れますが

たとえば、繰り返される痴漢・盗撮
あるいは
幼児性愛などの行為にも

この代理行為による「反復強迫」
・・・という意味合いが

とても色濃く存在するケースがあります。

たとえば
盗撮行為が奥さんの知る事となって

なにかストレスか問題があるなら、ちゃんと解決して欲しい」と
奥さんに強く求められて

カウンセリングにお越しの男性も
いらっしゃいます。

| 自分より重症な人を求める |

愛情過多症にもグラデーションの様に
やはり程度の違い
というものがあります。

愛情過多症の心がとても深い場合には

自分よりも傷ついている人
自分よりも「重症」な人を

お世話する相手として選んだり
求めるようになりがちです。

何故なら、自分よりも「軽症」な人では
自分を癒す代わりとは
ならないからです。

それは、表現を換えると

傷ついている人を必要としている人
・・・とも云えるかも知れません。

もちろん、
この場合の軽症・重症とは
あくまで主観的なものですが・・・

対人援助職の中にも

愛情過多症のテーマを抱える方は

介護職、看護師など医療従事者
カウンセラー、保育者 など

いわゆる対人援助に携わる人たちの中にも
しばしば見かけることになります。

たとえば、優れた人格者、優れた教育者
と呼ばれる人たちの中には

愛情過多症の課題を深く抱えながらも

自己成長を遂げてゆくなかで 

社会活動や子どもの教育などに
より高く昇華されていった人たちが
いらっしゃいます。


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