愛情過多症について

ここでは、
「愛情過多症」と呼ばれる
心と行動のパターンについて
カウンセリングの立場から記しています。

| 愛情過多症のかたち |

「愛情過多症」とは
本当は自分自身が傷ついている心を抱え

自分自身が癒されること・
お世話されることを
求めているにもかかわらず

傷ついている人をお世話することで
自分を癒す代わりをしようとする
心のパターンを云います。

たとえば、
傷ついている人
 困っている人をお世話していると、
 何故か心が落ち着く、安心する

・・・という項目に○を付ける人は

程度の違いこそあれ
愛情過多症の心を
何処に抱えているかも知れません。


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〝自分を癒す代わり〟の行為とは
もちろん
愛情過多症の形ばかりではありません。

人によっては、たとえば

「肩書き」や「地位」だとか、
それに類するものを求める行動が
代償行為となっている場合もあります。

あるいは、
人との関係を離れて
物との関係に向かう方もいるでしょう。

このように、人によって
様々な在り方が存在しています。

そういう面から考えると
〝愛情過多症〟とは

ある意味では
とても人間の本性に添った行動

・・・と云うことも
出来るかも知れません。


|自分よりも重症な人 |

愛情過多症にも、やはり
程度の違いというものがあります。

そして、愛情過多症の心が
深い人の場合では

自分よりも傷ついている人・
自分よりも「重症」な人を
お世話する相手として選んだり、
求めるようになります。

何故なら
自分よりも「軽症」な人では
自分を癒す代わりとは
ならないからです。

それは言葉を換えると

「傷ついている人を必要としている人」
とも云えるかも知れません。

もちろん、
この場合の軽症・重症とは
あくまで主観的なものですが・・・

| 対人援助職の課題 |

愛情過多症のテーマを抱える方は

看護職や介護職、医療畑、カウンセラー
保育者やボランティアなど

いわゆる対人援助職や
援助活動に携わる人たちの中にも
しばしば見かけることになります。

そして、
愛情過多症のテーマを抱えての
対人援助活動は

共依存関係に陥る可能性が高くなったり
燃え尽き状態にもなりやすい、
と考えられています。

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たとえば
優れた教育者となった人・
社会貢献に献身した人たちの中には

愛情過多症を深く抱えながらも
自己成長を遂げてゆくなかで

社会活動や子どもの教育などに
高く昇華されていった人たちが
存在しています。


| 愛情過多症の問題とは |

愛情過多症の行動が問題となるのは、
ひとつには

相手に対する行動や行為が
一方通行になる場合です。

〝自分が与えたいもの〟と
〝相手が求めているもの〟とが
一致してくれたら良いのですが

そうはならずに

相手が求めているものよりも
自分が与えたいものが優先され、

相手からすると、むしろ
「有りがた迷惑」になることで
愛情過多症による行為が空回りしたり

葛藤を生み出すことになります。

受ける側の人も
相手が善意・厚意でやってくれている
と思うので

不満や食い違いがあったとしても、
なにも云えなくなります。


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こうした愛情過多症ゆえの問題は
日常の人間関係の中にも
しばしば存在することになります。

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