
「ありのままの自分」を考えること
| はじめに |
ありのままの自分を
受け入れましょう・・・
ありのままの自分を
認めることが大切です・・・
こうした言葉を、よく聞きますね。
ご相談者の方からも
ありのままの自分を受け入れる」というのは、本を読んでいる時には、なんとなく分かったような気になるけど、そもそも〝ありのままの自分〟というものが、よく分からない。
・・・そうした訴えを
お聞きすることがあります。
確かに、わたしが読者であっても
よく分からないと思います。
| 誤解を与える言葉 |
ありのままの自分を認める・受け入れる
・・・という表現は
あたかも〝ありのままの自分〟
というものが先験的に在って
それをそのまま受け入れればよい
・・・かのような錯覚を
与えるかも知れません。
しかし、果たして
そのようなひどく退屈な
内的作業でしかないのでしょうか。

| フィールドワークの視点 |
こう考えてみると、どうでしょう。
たとえば、何かの動物や植物を保護し
育てていこうとします。
そのような時には
まず、どんな事から始めるでしょう。
きっと、その動物や植物が
どのような生き物であるかを理解してゆくための取り組み、から始めるはずです。
まず、そこから始めるはずです。
こういう条件の環境で生息し、
こんなふうな性質を持ち
こういう特徴を持つ生き物なんだ
・・・等々というふうに
その動物や植物を理解するためのフィールドワークから、取り組んでゆくことでしょう。

| 新しい目によって |
しかしこれは、なにも
動物や植物だけではないはずです。
自分自身に対しても
少しも変わらないはずです。
つまり言葉を換えると、
ありのままの自分を認めるというのは
自分自身を、
新しい目によって発見し直してゆくこと。
それが、ありのままの自分を認める
という作業の
大切な中心を成している。
そこが
最も肝心なことのように思います。
何故なら、カウンセリングをしていると
自分を一番誤解していたのは
実は自分自身だった・・・
ということは
少しも珍しい事ではないからです。
そういう意味から申し上げると
カウンセリングとは
ご相談者が
ご自分自身を発見し直してゆくための場。
・・・そう云えそうです。
白いキャンバスに、言葉で
もう一度、絵を描き直してゆく・・・
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