【気質】持って生まれているもの

・・・気質が忘れられている


誰もが、
生まれ持っての「気質」というものを
与えられています。

ここでいう「気質」とは、

意識(自意識)や性格というものが
形成されてくる以前の

生まれた時には
すでに与えられているものを
指しています。

      ●●

そして、気質は
人それぞれで様々ですが

このことは
カウンセンリグや臨床において、

実は、とてもないがしろに
されている気がします。

| 本人に働く根底的な力 |


気質とは、生まれた時には
既に自分の中に存在するものなので、

自分だけで客観化することは困難ですし、

本人に働くドライブ力は
後天的な性格などよりも

よほど根底的な力を備えています。

      ●●

それというのも、
世間で性格と云われるものは

気質の土台のうえに
形成されるからです。

地球にたとえるなら、

マントルの上に乗っている地殻
・・・と云えるかも知れません。

地殻が性格であり、マントルが気質です。


地球の断面図



| 一生持ち続ける |


子どもを持つと分かることですが、
よく観察していると

生まれおちた時から
一人ひとり違いのあることが
見て取れます。

栴檀(せんだん)は
 双葉(ふたば)より芳(かんば)し

という諺があるように、

生まれ持っての気質というものが、

その時々の条件や環境の中で、
幼児の頃から
すでに現れ出ているのです。

      ●●

しかも、乳幼児研究によって
分かったことは

こうした生まれ持っての気質は、

成人し、大人になってからも
ずっと持ち続けるということです。

三宅和夫 乳幼児心理学
これは私が、時々訪問をしていたケースなのですが。
そのお母さんは、妊娠中から「子どもはいらない、子どもなんか嫌だ」と、言っ
ている人だったんです。「子どもなんか出来て、失敗した」と嘆いていたんです。

そして、生まれた赤ちゃんはというと、気質的にとっても楽な赤ちゃん、育てやすい赤ちゃんだったんですね。

泣いてもすぐに機嫌が良くなるし。適度な活動性もあるし、敏感し過ぎたりもしないし。女の子でしたが。

そうすると、妊娠中にはあんなことを言っていたお母さんが、変わってくるんで
すよね。訪ねるたびに、お母さんの様子が変わってくるのが、分かるんです。

だんだん子どもが好きになってきてるんだな。子どもとの関わりが楽しいんだな。ということが、感じられてくる。

このお母さんの変化は、明らかに子どもの影響です。

もしこれが、とても気質の難しい赤ちゃんが生まれていたら、と考えるとこわくなります。
おそらく、子どもにもお母さんにも、難しい問題が生じたのではないか、と思われます。

| 気質を重要視していた |


フロイトは、ご存知のように
精神分析療法を生み出した人物です。

しかしフロイトも
その理論とは別に

臨床や治療では気質を重要視していた、
と云います。

精神分析の創始者であるフロイトは、もともと自我の体質的(ここでいう気質)基盤を重要視しており、自分の理論が環境偏重主義の中で、心因論的な解釈にひどく偏ったものとなるのを恐れていた。
池見酉次郎(ゆうじろう)

精神分析療法に限らずすべての治療は、相手の資質(ここでいう気質)に添うときに効果が上がる。
「人を見て法を説く」はそれである。

神田橋條治 精神科医・心理療法家

      ●●

ここで申し上げている「気質」とは、

何かの心理テストで分かる、
というような
抽象的なものではありません。

生きてきた中での様々なエピソードを
振り返りながら、

ご一緒に整理してゆく中で
自ずから見えてくるもの

・・・としてあります。

| 気質を生かしてゆく |


これまでのカウンセリングの欠点は、

フロイトが恐れていたように
心理的な見方に偏り過ぎる余りに、

その人の気質への理解に
欠けていたことにあります。

上でも記したように、

本人に働くドライブ力は
根底的なものを備えているのです。



生まれ持ってのマントル(気質)を、

何らかの形で
生かせるような生活を送れるなら

その人は、生きている実感を
得られることでしょう。

一方で、
たとえ他人の目からは、
良さげに見られている人でも、

気質を殺したような生き方・
気質と反するような生き方を
強いられている場合には、

ご本人にとっては
生きている実感が希薄なまま、

あるいは、心中に
何かは分からないけれど
息苦しいものを抱えたまま、

生きていかなくてならない、
かも知れません。


| 逸脱行動への衝動 |


人と場合によっては
そうした息苦しさと抑圧感が

これまで作ってきたものを
壊してしまうような
逸脱的な行動への衝動として、

現れ出る場合があります。

そのようなケースを
しばしば目にすることになります。

      ●●

カウンセンリグから考えたとき
まず大事なことは、

自分自身の持って生まれた気質を
理解できようになる

・・・ということかも知れません。


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