突然の動悸・めまい・息苦しさによる恐怖感…『不安発作』を臨床歴20年のカウンセラーが詳しく解説

心と身体

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不安発作とは―
心の働きが引き起こす急性の発作

突然の動悸や胸苦しさ、
目眩(めまい)や息苦しさなどから始まり、
このまま死んでしまうのではないか
という不安に襲われる
・・・
そんな症状に苦しんでいませんか?

これが身体の病気や薬物が原因ではなく、
心の働きが原因で起きてくるもの。
これを『不安発作』と呼んでいます。

この記事はカウンセラーとしての経験から、
不安発作に苦しんでいる方に
症状等を理解していただくことを目的としています。

支え合うイメージとしての花

診断ではなく、
「一緒に心を整理していく」という
カウンセリングの考え方もあわせてお伝えします。

特に、不安発作がその場だけで終わらずに
繰り返される場合には、
原因探しではなく
「今までのことをご一緒に振り返りながら
心を整理してゆく
」というアプローチが
とても重要になるからです。

あなたが、少しずつ楽になって
良くなってゆくこと
・・・

カウンセリングが一番大切にしていることです。

不安発作の実例 :
小説家・宮本 輝氏の場合

小説家の宮本 輝 (てる)氏
会社勤めをしていた時代に
不安発作に襲われた経験を語っています。

不安発作の経験を語る宮本輝氏
宮本 輝リンク記号

最初は、休みの日に友達と競馬に出かける途中に発症したんです。
電車の中で、めまいと動悸が激しくなって
地面の底に沈んで行くような感覚に襲われたんです。
それ以降、電車に乗っていると、同じ症状が頻繁に起きるようになって、
そのうち電車に乗ると考えただけで、心臓がドキドキするようになって「このまま死んでしまうかも」という恐怖心すら覚えるようになっていきました
「もう会社に通うのは無理、サラリーマンは向いてないんじゃないか」と思い始めました。

(NHK 知るを楽しむ 2008年1月)

宮本氏はその後、間もなくして会社を辞め
小説家になる道を選びます。

予期不安(よきふあん)

宮本氏が語っている
「電車に乗ると考えただけで、心臓がドキドキする」という状態を
『予期不安』と言います。

「また○○になるのでは」と感じると
強い不安と怖さに襲われ、
そうした場や状況を避けるようになっていきます。

急性の不安発作の特徴 : 突然起こる症状とその現れ方

ここでは不安発作の「はじまり」について触れています。

急性の不安発作の多くは
宮本輝氏がそうだったように、
なんの前触れも、思い当たる理由もなく
突然襲ってくるように感じられます

不安発作に詳しい高橋 徹(とおる)氏が、
その特徴について語っています。

高橋 徹 精神科医
それは急性(急に生じる)の状態である。
ごく短い前兆を自覚することもある。
たとえば、頭が急に軽く感じる、頭がクラクラする感覚がある、頭が熱くなってくる、などと表現されることがある。
それに続いて、自律神経症状リンク記号を主とした自覚症状があらわれてくる。
動悸胸苦しさ頭や体の震え手足のしびれ感血が引いてゆく感覚めまい、悪寒、冷や汗など。
そして、強い不安が迫ってくる。
このまま死んでしまうのじゃないか、などの恐怖感が襲ってくる。

【症例】突然の動悸や息苦しさに襲われる体験

40代 女性
デパートへ買い物に行き店内を歩いていると、急に貧血を起こしたようになった。
頭がクラクラして、
血が引いていくような感じが何度もして、
胸が苦しくなって激しい不安に襲われた

死ぬのではないかと恐ろしかったが、体がヘナヘナして動けなかった。
十分ぐらいしてから、店員に頼んでタクシー乗り場までついて来てもらい、タクシーで近くの病院へ行った

この女性はデパートですが、
駅の構内で発作に襲われる例も少なくありません。


30代 男性
某年七月、機械を修理するため、高い台に飛び乗った途端に動悸が起こった。
その頃患者は、私生活で思い悩むことを抱え、疲れていた。
これまでならすぐ止まる動悸が、なかなか止まらないばかりか、
そのうち息苦しくなり、手足が痺れ、意識が遠のくような感覚がした。
患者は死への不安に襲われ、工場内の診療所へ運んでもらった。

この男性ように、
心労による疲れが
発作を引き起こすことがあります。


休日に居間で休んでいる時に
急性の不安発作に襲われた
、という方とも
カウンセリングでお会いしています。

不安発作の場合: 長くても30〜40分で落ち着きます

不安発作の多くは
軽い場合には15〜20分程度、
長くても30から40分くらい安静にしていると、自然に落ち着いていきます。

不安発作の場合には
死ぬことはありませんので、
落ち着くように努めてください

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不安発作は、現在では
「パニック発作」と呼ばれますが、
伝統的な精神医学では
昔から不安発作という名で
臨床の知見や経験を積み重ねてきました。

ですので、この記事では
それに倣って(ならって)
「不安発作」という名を使っています。

不安発作の場合: 検査で異常が見つからない

突然こうした発作に襲われると
誰もが「重い病気の前触れではないか
と不安になります。

そして医療機関を受診して検査をしますが、
不安発作の場合には
「重大な病気につながるような異常は特に見当たらない」と告げられます。

「こんな症状が出たのに、異常がないなんてあるんですか? と聞いたら、看護師から、神経症です! と言われた
そうおっしゃる方がいます。

神経症とは〝心の無意識の働き〟が
深く関わる症状群のことです。


不安発作は誰にも起き得るもの

不安発作のケースは
けっして珍しいものではありません

急性の不安発作の例は少なくない。
内科外来や救急外来などでは、しばしば見られる。

高橋 徹 精神科医

高橋 徹(とおる)氏が語るように、
それは誰にも起こり得るものです。

しかし中には宮本 輝氏のように、
その場だけ(一過性)では終わらずに
不安発作を繰り返していく方がいます。

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不安発作が繰り返されて起こること : 不安神経症との関係

不安神経症に詳しい高橋徹氏が
このように解説しています。

「不安神経症」と診断された中には、急性の不安発作から始まっている例は多い。
高橋 徹

宮本 輝氏の場合にも
不安発作が繰り返されて
不安神経症』の状態へと
病像が進んだことがわかります。

不安神経症は、現在の診断名では
パニック障害」と変わっていますが、
治療者の間では
不安神経症という言葉は今も生きています。

不安神経症まで進んでしまうと
仕事が続けられなくなるなど、
生活に大きな支障を生じるようになります

不安神経症へ進みやすい場合とは

急性の不安発作から
不安神経症へと進みやすいケースとして、
短期間に不安発作が繰り返される場合。
そして、
急性の不安発作以降に
漠然とした身体の不調感が続く場合です。

そのようなケースでは
その場(一過性)では終わらずに
不安神経症へと進行する可能性の高いことを
高橋 徹氏が指摘しています。

ライブハウスで過呼吸を起こしてから、
ときどき職場でも
不安発作が起きるようになって、
仕事を続けられなくなり、
家からも出られなくなる、というケースも拝見しています。

【症例】不安神経症に至った事例

40代 男性
仕事で車を運転中に突然、動悸、発汗、呼吸困難、からだの震えが生じて、死の恐怖に襲われた
車を止めて休んでいると、症状は消失したが、頭の重さや倦怠感がほぼ毎日続いた


20代 男性
職場で急に息苦しくなり、動悸がして「今にも死ぬのではないか」という恐怖におそわれ、落ち着かなくなった。
検査の結果、重大な病気の前兆ではないと云われ安心する。
しかし数日後に、出勤途上で再び発作を起こし、それ以来なんとなく落ち着かない気分が続き、
頭がフラッとしたり息苦しくなるなどの状態が、繰り返し起こるようになって仕事も休みがちになる


10代 女性
通信制高校に入学したが、第一回目のスクーリングの日、昼休みに最初の発作があった。
突然、喉がしめつけられるような感覚がしたかと思うと、息苦しくなって、心臓の鼓動が高まり、全身が震え汗が吹き出してきた
苦しくなってこのまま死んでしまうのじゃないか、と不安になり医務室に連れて行ってもらう。しばらくして発作は自然におさまった。
それからスクーリングでの休み時間になると、時々発作が出現するようになった

安心感を表す手書き風イラスト

不安神経症から少しずつ回復し
ご自分の足でもう一度歩いてみようとする時、
多くの人たちは、
(原因探しという意味ではなく)
不安発作が起きた頃の自分を、
少しずつ理解していくプロセスを通る方が多いように感じます。

カウンセリングが大切になる意味 : 原因探しではなく心を整理してゆくこと

これまでも触れたように、
急性の不安発作の場合には
ご本人自身では、
「思い当たる理由もなく」起きてくるように感じられます。

それが不安発作の特徴としてあります。

ですので、
原因探しではなく、
ご一緒に気持ちを整理してゆくこと
・・・

筆者はカウンセラーとして
長年カウンセリングを行なっていますが
ご相談者の方から・・・
こうした場で話をするって大切なんですね
そう言われることがあります。

心身医学の専門家である
河野友信(こうの とものぶ)氏が語ります。

時代状況を反映してストレス関連の病態が増加していますが、治療は必ずしもうまくいっているとは言えません。
臨床経験があれば容易に理解できることですが、
マニュアル的な治療では、個別的で複雑系である人間の内面には届かないことが多いからです。

河野友信 心身医学

河野氏が言うように、
たとえ表に現れている症状や状態は
同じだったり似ていたとしても、
その背景となる心のデリケートなものは
一人ひとり異なっています。

不安発作も、
はっきりとした原因を一つ特定できるものではなく、
さまざまな心の状態が重なって
現れることが多いものです。

「対話療法」として

カウンセリングは別名
対話療法』とも言われます。

対話療法とは、
思っていることを自由にお話しながら、
専門家との対話で、心を整理していく方法です。

あなたが、少しずつ楽になって
良くなってゆくこと
・・・

カウンセリングが一番大切にしていることです。

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