心身症- 治療とカウンセリング

心身症について


| 心身症とは |


心身(しんしん)症という言葉を

お聞きになったことが
お有りでしょうか。

この言葉が
世に知られようになったのは

1980年代に起きた
不幸な航空機事故がきっかけでした。



心身症とは、
次のような身体の病気を云います。

精神的・心理的な問題や要因が、
その病気の発病だとか
症状の悪化(増悪)の原因として
かなり深く関わっている身体の病気。


それを心身症と呼びます。

精神的・心理的問題をまったく本物の
身体病としてあらわすということである。

        中井久夫 精神科医


しかも、身体病に心身症が多いことは
昔から認識されていました。


大学病院の総合診療科を受診する患者さ
んの六割から七割が、心身症としての病
態を持つと言われていますね。
ハーバード大学でも川崎病院でも、その
ような報告をしています。

       河野友信・心療内科医


たとえば
ミステリー作家の夏樹静子さんが

心身症としての腰痛に
苦しめられたことは、

ご自身が公表されたことで
よく知られています。

心身症としては、肩コリのような軽いも
のから、高血圧、命を落としかねない
クモ膜下出血、心筋梗塞まである。

神戸の地震(阪神淡路大震災)では、
クモ膜下出血、多発性胃潰瘍、心筋梗塞
が見られた。
心筋梗塞は直後だけでなく、40日〜50日、
3ヶ月、半年目にも増えた。したがって
負荷がなくなても、数ヶ月後まで油断で
きない。
たとえば激務の後、休暇を取って旅行に
出る場合にも、心筋梗塞が起こる場合が
ある。

        中井 久夫・精神科医


よくご存じの「心療内科」は、
元々の理念では

心身症の診療を行なう科目として
設立されたものです。

しかし、心身症では

上にも記しているように
本物の身体の病気として現れるため、
患者さんは皆さん

内科や婦人科など、体の診察科を
受診し通院することになります。

そのため、現実の心療内科は
プチ精神科のようになっています。

| 慢性化する傾向 |


心身症は、上に記した性質のために

身体病として治療するだけでは、
なかなか良くなりません。

一旦は良くなったとしても
しばらくして繰り返されたり。

次には、また別の病気として発症する

・・・ということが、よく見られます。

普通ならば
とっくに治ってもよいはずなのに

なかなか治らなかったり
慢性化しているようなケースでは

心身症を疑ってみる必要が
あるかも知れません。

身体的な病気として治療されているけれ
ども、発症や経過に心理的・精神的な要
因が強く関わっていて、たんなる薬物治
療だけでは治療効果が思ったように上が
らない。
したがって、そのような患者さんの中に
は、「もう治らない」と諦めている人が
多い。

            悟郷 晋浩

あらゆる身体の病気が
心身症として現われ得るものです。

| 心身症のいろいろ |


心身症としてあげられことの多い
代表的な病気としては

本態性高血圧 一部の不整脈
(本態性とは原因がよく分からない、
 という意味です)

心臓神経症 消化器性潰瘍 

潰瘍性大腸炎 糖尿病
関節リュウマチ 慢性蕁麻疹 湿疹

・・・などが挙げられます。

甲状腺機能亢進症は、内分泌系心身症の
代表的な疾患である。
亢進症の主な疾患としてはパセド病があ
げられる。その発症には、様々な精神的
ストレスが大きく関わっている。

       『心身症の治療と診断』


しかし、上にも記しているように、

どのような身体病も
心身症として現れ得るものです。

中心性網膜症は、急性ストレス関連の眼
科疾患である。第二次世界大戦の米兵に
多数発症した。
緑内障もストレス関連で発症することが
ある。サラリーマンでは決算期に悪化す
る。

遺伝子が関与していても心身症であり得
る。たとえば甲状腺機能亢進症である。
これは甲状腺がストレスに関与した内分
泌器官であるから当然であるが、糖尿病
も心身症として突然始まることがある。

       中井 久夫 精神科医

| 心身症とカウンセリング |


心身症であることが
想像される場合には、

薬による身体病としての治療だけでなく、

いろいろなことを話せる場で、
気持ちや状況などを振り返りながら、

少しずつ
整理し理解してゆくことが
とても大切になります。

カウンセリングは、まず第一に
そうした場としての意味を
大切にするものです。


すべて身体であらわれるので、本人は精
神的・心理的問題が関わっていることを
納得しないことがある。
患者を取り巻く状況と身体症状との関連
から、心身症であることを察して、
丁寧な面接で、少しずつ問題を共に理解
してゆくことがよい。

        中井 久夫 精神科医


溶接工として働いていたが、最近過労気
味であった。
その頃から腹部膨満感があったが、吐き
気と頭痛が加わって、内科を受診。胃カ
メラの検査で胃潰瘍と診断され、投薬を
受けた。

しかし、その後も症状は一進一退。
しだいに冷や汗が出たり、イライラする
ようになり、仕事への意欲も低下した。
病院で抑うつ状態と診断、休養を指示さ
れる。
患者は、はじめは感情的・心理的な問題
と症状との関係を否定していたが、しだ
いに就労条件への不満や上司との緊張し
た関係について語り始めた。

そして、症状の増悪と職場のストレス状
況との関連に気づいていき、「今まで漠
然と不満に思ってたいたことが聞いても
らえて、楽になった」と云って、症状が
少しずつ改善し、復職して行った。

        成田義弘『心身症』


| 間違ったイメージ |


多くの人は、
「心理的・精神的な要因」と聞くと

なんとなく
「心が弱い人がなるもの」

・・・というイメージを
持つかも知れません。

しかし、それは
大変に間違った先入観です。

心身症は一般に、性格が弱かったり、社
会的に困難な事態に置かれている人がな
る、と誤解されていますが、むしろ一人
でいろんな問題を背負って、頑張ってい
るような人に、心身症は多いものです。

            悟郷 晋浩


(ある症例報告から)
五十代のHさんは、一年ほど前から体を
動かと動悸、息切れ、胸苦しさが起こる
ようになり、やがて不整脈が起きて入院
することになった。

入院後、薬物治療によって動悸や呼吸困
難などの症状は改善された。しかし不整
脈は消えず、いろいろな薬を使っても効
果がなく、Hさんは不安を抱え続けた。

そこで、治療を続けながら面接をしてい
ったところ、発症の前に職場で問題が起
こり、対立するような状況が起きていた
ことが分かった。
しかもその前から家庭内でも息子のこと
で、ひどく悩みや葛藤を抱えていること
が明らかとなってきた。

そこで、それらの心配事や心労について
話しい合いをしてゆく中で、次第に自分
自身で不整脈との関わに気づいてゆき、
やがて不整脈もみられなくなった。




カテゴリー心と身体



お読みいただけると幸いで
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