

カウンセリングで大切になること
カウンセリングでは
ご相談者との関わりの中で
とても大切なことが幾つかあります。
その中でも、特に大切な一つが
ご相談者の内的な状態が
複雑化することのないような面談を、心がける・・・ということが挙げられます。

たとえば、以前のことですが
私の目には、カウンセリングやセラピーの強い副作用の中にいらっしゃると感じる方が、時々お越しになりました。
ご本人自身では
(以前のカウンセリングで)
自分の問題を、まだ解決し切ることが出来なかったので、今もこうなっている・・・
そうした意味のお話をされる場合が
殆どだったように思います。
そして、詳しく伺っていくと
皆さんが、侵襲的なカウンセリングのセッションを、繰り返し受けていました。
* 侵襲的とは・・・
目の前のクライエントの心の状態や人となりを 推し 量らずに、あるいは推し量ることが出来ずに、心の中を掘り返してゆくこと。
関連ページ
カウンセラーとしての仕事とは
このような場合には、
丁寧にお話をうかがいながら
副作用の影響から少しずつ離れて
ご自分を取り戻すお手伝いをすることが
もっとも大切なサポートになります。

複雑化することのないように
ちなみに
カール・ロジャースが大切な言葉を残しています。
カール・ロジャースとは
カウンセリングの世界では今も深く尊敬されている人物で
彼が次のような助言を残しています。

自分のあり方がクライエントに対してどのような影響を与えているかを、自分自身で検討し続けること。
つまり、自分が行なっていることが
ご相談者に対して
どのような影響を与えているのか。
ご相談者の姿を通して
それを 推し 量りながら
自分が行なっているカウンセリングというものを、検討し続けること。
ちなみに、それはカウンセラーにとっては
『自分自身を検討し続ける』ことと、同じ意味になります。

壊病(えびょう)と医原症
医療の世界でも
『壊病』あるいは『医原症・医原病』という言葉が
昔からあります。
壊病とは 中医学(伝統的な中国医学)の言葉で
「見当違いの治療や不適切な対応によって、病気の状態が、かえって複雑なものに悪化していくこと」を意味しています。
医療とカウンセリングとの違いはありますが
『複雑化』の意味することは、同じです。
医原症・医原病という日本の言葉も
壊病と同じような意味です。
ちなみに、星野 弘(ひろし)氏が
精神科医の立場から次のように 記しています。
星野 弘 精神科医
治療のやり方やアプローチの仕方によって、患者の予後(予後とは、将来にわたっての状態という意味)は変わる。
しかし患者の予後はしばしば、患者の個人的な性質に帰せられてしまい、治療者の言い訳になっている。
だが、治療者側の要因の方がよほど問題であると、私は思う。
しかも当の治療者が気づいていない場合が少なくないのは、原因を患者の個人的な性質や精神疾患の特徴にして、己の治療を省みないためである。
星野氏のこの言葉は
カウンセリングやカウンセラーにとっても
大切で重みのある言葉です。

一緒に片付けながら
カウンセリングで申し上げると
ご相談にいらした方の心が
〝複雑〟になってしまわないためにも
ひとつには
散らかってしまって
何処から手をつけたらいいか分からずにいる部屋の中を
ご一緒に、少しずつ整理しながら
部屋の中の見通しをよくしてゆく
・・・という作業が大切になります。
私たちの心は
まるで散らかった部屋のように
どこから手をつけていいか分からなくなることがあります。
そのためにも、ご一緒に整理し片付けながら
改めて考えてゆくことが大切になります。
森のこかげでは、そのような〝心の片付け時間〟を大切にしています。
関連ページ
ご相談者からの言葉・感想
カテゴリー【カウンセリングのこと】