| はじめに |
カウンセリングとしての面談
・・・と云うよりも
むしろ本来は、もっと広い意味で
〝臨床では〟と云うべきですが
そこでは、大切になることが
幾つかあると思っています。
ひとつには、
カウンセリングではご相談者、
医療では患者さん、の状態を
複雑化させないこと、が挙げられます。
| 複雑化しないように |
カウンセリングで云えば、
ご相談者の状態(内的な状態)を
最初にお会いした時よりも
複雑化することがないような
面談を心がける
・・・ということが大切です。
これは特に、継続してゆくケースでは
最も大事になるかも知れません。
たとえば、以前のことですが
わたしの眼には、
カウンセリングの副作用の中にいる
・・・としか思えない方が
時々お越しになりました。
ご本人自身では
(以前のカウンセリングやセラピーで)
自分の問題が、まだ解決し切ることが出来なかったので、今もこうなっている・・・
そうした意味の述懐をされる場合が
殆どだったように思います。
そしてお話を伺ってみると
殆どが、侵襲的なカウンセリングやセラピーのセッションを、繰り返し受けていた方たちでした。
このようなケースでは
詳しくお話をうかがいながら
副作用の中から少しずつ
覚めてゆくことをお手伝いするのが
最も大切なサポートになります。

| 壊病と医原症 |
中医学(中国医学)には
「壊病」という言葉があります。
(え・びょう)
見当はずれだったり、その人には適さないような治療や対応を続けることで、
患者さんの症状や病像が、複雑化してしまった姿を意味している言葉です。
日本の医療にも「医原症・医原病」
という言葉があります。
元々の病気によるものではなく、
治療が原因によって生じている
症状や病像という意味です。
壊病と、同じような意味です。
このような壊病だとか
医原症・医原病というものは、
残念ながら、非常によくあるものです。
▷ 精神科セカンドオピニオン
(医学・看護書出版シーニュ)

| 一緒に片付けながら |
ご相談者の状態が
複雑化(壊病化)することのないような
面談のためには
ひとつには
散らかってしまって、
何処から手をつけたらいいか分からずにいる部屋の中を
一緒に整理し片付けながら
部屋の中の見通しをよくしてゆく
・・・という作業が大切になります。
このことは、当然ですが
初回だけのことではなく
常に一貫して在り続ける必要があります。
心理療法(カウンセリング)というものは、そもそも患者(ご相談者)の気持ちの安定化をはかる、というのが第一歩です
下坂幸三 精神科医/心理療法家
しかも、それをでき得る限り
「クライエント・センター」の場の中で
自由にお話しをして貰いながら
進めてゆく・・・ということが
カウンセラーのとても大切な役割です。
・・・とは云え
なかなか難しいことも多いですし、
上手くできない場合も出できます。
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