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カウンセリングでお話しをしていく意味
| はじめに |
誤った認識をもとにして、正しく考えてゆくと、必ず間違ったことにしかならない。
これは尊敬する神田橋條治氏の言葉です。
カウンセリングをしていると
「なにかアドバイスをもらいたい」として
面談の申し込みを
いただくことがあります。
あるいは、お話しをしている中で
「・・・だとしたら
どうしたらいいでしょう」
そう訊かれることが、時折あったりします。
違う風景が見えてくる時
「どうしたらいいか」を考えてゆく前に
とても大事なことがある
・・・ということを
カウンセリングを長く続けてくると
よく分かってきます。
それを分かりやすく申し上げると
(ご相談者の語るエピソードや問題が)
〝それはどういうことなのか〟
〝どういう意味なのか〟を
ご一緒に整理しながら
改めて理解し直してゆく
・・・ということになります。
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| 新しい目で理解し直す |
先日も男性(Aさん)との面談で
Aさんの中で
「これは、こういう意味だ」
「○○だから、こうなるんだ」というふうに
ご自分の中で
意味づけや解釈が出来上がっていた夫婦関係でしたが
ご一緒に振り返りながら考えてゆく中で
まったく違った風景が見えてきた
・・・ということがあります。
「そういうふうに考えてみると
むしろ、いろいろな事が腑に落ちてくる」
・・・そう述懐されていました。
あるいは、B子さんとの面談では
ご自分で本を読んだり、ネットで調べたり
相談した人から云われたりして
「○○なのは(○○になったのは) こういうことが原因だ」
・・・というふうに
理解がされていたことでしたが
ご一緒に整理しながら考えてゆく中で
別の意外な事柄が
深い意味を持つものとして見えてきた
・・・ということがあります。
しかし、このようなことは
カウンセリングでは珍しい事ではありません。
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暗闇に明かりをともす
たとえば、著名な臨床家・土居 健郎氏は
臨床家・治療者への警句として、ですが
次のように語っています。
もっとも大切なことは、患者・クライエントを理解しようとすることである。しかし、もちろん他者の心は容易にわかるものではない。
そのため、何か専門的な概念を持ってきて、それでもってクライエントの言動を分かったつもり、になることが行われている。
典型的な例は、精神分析の概念や用語を借りてきて、それでもって分かったつもりになることである。
その他にも、心理学や精神医学などの種々の概念が、この目的に乱用されることがきわめて多い。
しかし、このような浅薄(せんぱく)な行為は、クライエントを理解するということとは、まったく無縁なことである。
土居 健郎 精神科医・精神分析
それはどういう事なのか
・・・ということを
よく理解し切れていない中で
「どうしたらいいか」を考えることは
何も見えない暗闇のなかで
「どっちへ行けば出口に出られるか」と
問うている姿に似ています。
私のカウンセリング経験から申し上げると
整理や理解の深さに応じて、自ずから
それはどういうことか・・・
どんな事が起きているのか・・・
あるいは
どうすればいいか、が見えてくるものです。
上に記したことは
〝自分自身〟について考える時にも
少しも変わらないと思います。
誤った認識をもとにして、正しく考えてゆくと、必ず間違ったことにしかならない。
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