カウンセリングで話をする意味とは。
はじめに
カウンセリングをしていると
「何かアドバイスをもらいたい」として
面談の申し込みを
いただくことがあります。
あるいは、お話しをしている中で
「・・・だとしたら
どうしたらいいでしょう?」
そう訊かれることが、あったりもします。
ところで
神田橋條治 (精神科医・心理療法)氏が
このように臨床家に注意を促しています。
誤った認識をもとにして、正しく考えてゆくと、必ず間違ったことにしかならない。
そして、このようなことは
おそらく、カウンセリングにおいても
とても起きているように感じています。
改めて整理しながら
「どうしたらいいか」
・・・ということを考えてゆく前に
とても大事なことがあることを
神田橋氏の言葉が教えてくれています。
それを分かりやすく申し上げると
(ご相談者の語るエピソードや問題が)
〝それはどういうことなのか〟
あるいは
〝本当は、そこで何が起きていたのか(いるのか)〟を
ご一緒に改めて整理しながら
理解し直してゆく
・・・ということになります。
違う風景が見えてくる時
たとえば、先日も男性(Aさん)との面談で
Aさんの中では
「これは、こういう意味だ」
「○○だから、こうなるんだ」
というふうに
ご自分の中で考えや意味付けが
出来上がっていた夫婦関係でしたが
ご一緒に振り返りながら考えてゆく中で
まったく違った風景が見えてきた・・・ということがあります。
「そういうふうに考えてみると
むしろ、いろいろな事が腑に落ちてくる」
・・・そう述懐されていました。
あるいは、B子さんとの面談では
ご自分で本を読んだり
ネットにあがっている動画を見たりして
「自分は○○○なんだ」
「それを解決するにはどうしたらいいか」
・・・というふうに
理解がされていたことでしたが
ご一緒に整理しながら考えてゆく中で
別の意味や理解がその奥に見えてきた
・・・ということがあります。
しかし、このようなことは
カウンセリングでは
少しも珍しいことではありません。
✳︎ Aさん・B子さんは具体的な人物ではなく、ご相談者を一般化したものです。
灯りをともしてゆく
それはどういう事なのか
・・・ということを
よく理解し切れていない中で
「どうしたらいいか」を考えることは
何も見えない暗闇のなかで
「どっちへ行けば出口に出られるか」と
問うている姿に似ています。
私のカウンセリング経験から申し上げると
整理や理解の深さに応じて、自ずから
それはどういうことか・・・
どんな事が起きているのか・・・
あるいは
どうすればいいか、が見えてくるものです。
上に記したことは
〝自分自身〟について考える時にも
少しも変わらないと思います。
誤った認識をもとにして、正しく考えてゆくと、必ず間違ったことにしかならない。
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