

相反する二つの気持ちと感情・葛藤
| はじめに |
たとえば、頭や理性では
「こうしなければ・・・」
「こうすべき」と思っているのに
いざ実際にその場になると
むしろ、それに反するような
行動をとってしまう。
あるいは、
「こうしたい」という気持ちがあるのに
いざとなると
それとは矛盾する態度や行動になる。
こうした心の姿を
葛藤(かっとう)と呼んでいます。
それが些細な事であれば
「あ〜、またやっちゃった」で
済むかも知れません。
しかし、例えば
仕事や人間関係の場面だったり、
育児・子育て等の場面になると
いろいろな問題が起きてきますし
後々、後悔するようなことが
あるかも知れません。
葛藤ということでは、例えば
次のようなご相談も存在します。
仕事などで、相手を怒らせてしまうことがあります。
上司から「逃げ場をなくすような言い方をしている。だから相手が攻撃的になるんだ」と言われた時があります。
関わる人たちも多くなって、相手の立場なども考えて話さなければならない、と冷静な時には思うのに、その場になると出来ない自分がいて、悩んでいます。
ご相談者の言葉・感想から
| 葛藤というもの |
頭で考えていたり、
思っているようには出来ずに
むしろ
反対の態度や行動になってしまう
・・・というような場合には
「こうすべき」 「こうしたい」
と思っている心の奥に
そうすることを妨げている・
そうすることを邪魔している
もうひとつ別の
強い気持ちや感情が
隠れていることがあります。
このように、ある事に対して
二つの相反する気持ちや感情を抱えた
心の状態を指して
「葛藤(かっとう)が存在する」
と云います。
葛藤のある状態を指して
「アンビバレンツ」とも云います。
たとえば
「愛と憎しみ」という言い回しなどは
〝葛藤・アンビバレンツ〟というものを
端的に表現しているものです。
| 対人関係の場にみる |
「葛藤」というものを考える時に
やはり、対人関係の場面は
避けて通れないものです。
何故なら、他者と接する場面は
葛藤感情というものが
盛んに活動する場だからです。
たとえば、
複雑で深刻な葛藤では
嫌われたくない。
でも、関係が近しくなること、
関係が深くなっていくことも怖い。
対人関係で、このような葛藤感情を
抱える方もいらっしゃいます。
そして
相手から好意を向けられたり、
相手に対して好意を感じると
この葛藤感情が更に強くなっていきます。

| 隠れた感情の存在 |
心の奥に
別の気持ちや感情があって
「こうしたい」「こうすべき」
と思っているのとは裏腹に
いざとなると、
心の奥から湧き上がってくる。
そのために、
思っている様には出来なくなってしまう。
もしそうだとすると、あなた自身の
わだかまり続ける気持ち・
いまだ消化されずにいる感情が
そこに現れ出ている
・・・そう云えるかも知れません。
たとえば、子育ての中では
こんなこともあります。
お母さんご自身が
寂しかったり、 甘えたかった気持ちを
じっと抑圧して育ってきたような場合、
子どもがぐずったりした時などに、
「もっと抱っこしてあげたい」
・・・そう頭で思ったとしても
素直に身体が動かなかったり。
抱っこすることに対して、
とても苦しい気持ちになってしまう
・・・そういうケースがあります。
わたしは、どんなに寂しいときでも、一人で我慢してきたのに、どうしてあなただけ、かまってあげなくてはならないの!!
抱っこしてあげたい、
という気持ちがあっても、
ふたつの気持ちが
ケンカを始めてしまうのです。
それはお母さんが冷たいからでも、
愛情が足りないからでもありません。
そこには、
深いわけや理由があるのです。

| 心を整理してゆく |
葛藤の中には、もしかすると
あなたご自身の
解決されずにいる思い・
わだかまり続けている感情が
「何かを訴えている」
・・・のかも知れません。
散らかって
何処から手をつけていいのか
分からなくなってしまった部屋の中を
一緒に少しずつ片付けながら
心の整理をしてゆく。
カウンセリングでは
そうしたことを行なっています。
カテゴリー【こころの物語】