

親との関係でのご相談
| はじめに |
親との関係を見つめ直したい・・・
そうした気持ちから
カウンセリングにお越し下さる方たちも
いらっしゃいます。
親子関係の悩みに
年齢は関係ありません。
二十代から五十代の方まで
お越しになります。
両親と心を通わせる関係を築いておらず、一緒にいて寂しさを感じる瞬間があります。
人になかなか心を開くことが出来ないという、自分の性格の原因は、そこにあるのではないかと悩んできました。
母とのことが、今の私の一番のストレスになっています。でも母も年老いてきていますし、気持ちの持って行き場がなく、どう折り合いをつければいいのか悩んでいます。
こうした声なども、いただきます。

| 自分を取り戻してゆく |
「血を分けた存在」と言われるように、
親との関係、そして
親への思いの中には
他人には分からない
様々なものがあります。
たとえば
同じ両親に育てられた兄弟・姉妹でも
親との関係性には
それぞれに違うものがあります。
抱えている両親への葛藤や
親御さんへの様々な思いを
お話しされながら
ご一緒に、少しずつ
心を整理してゆくような機会は
カウンセリングでは
決して少なくありません。
それはある意味で、
ご自分を取り戻してゆくための
とても大切な時間になります。
こうして何回か話しをさせてもらう中で、特に何かアドバイスを受けた訳ではないけど、心が少しだけ軽くなった気がします。
両親とも少しだけですが、前よりも自然に話しができる様になった感じがあります。
このような声をいただいて、
面談を終えることもあります。

| 自分を見失わずに |
他方で、次のような訴えを
お聞きする機会もあります。
どうして自分はこうなんだろう、って自分なりに考えていると、やっぱりあんな育てられ方をして来たから、あんな親だったから、わたしはこうなんだって、思えてくるんです。
でも、だからって過去に戻ってやり直しが出来るわけじゃなし、ただ話をすることで、どうにかなるのでしょうか。
おっしゃるように、
誰も過去に戻ることは出来ません。
ただ、たとえば
物事の原因や理由の全てを
ただ一つの事柄や存在に
求めるようになってしまうと、
自分自身を理解するための
大切な幾つもの事柄を
置き去りにしてしまうことが
起きてくる場合があります。
言葉を換えると、
自分自身のことを見えなくさせてゆく
・・・ そうしたことが
起き得ることがあります。

ある時、女性のご相談者が
こんなふうに語っていらしたことを
思い出します。
私がこんなふうなのは、親にこんな育てられ方をして来たから・親がこうだったからだって、ずっと思ってたんです。そういうことを書いてる本もたくさんあるので、「確かにその通り、すごくよく分かる」と思って。
でも自分で子どもを生んで、子育てをして来て、「本当にそれだけだったのかな」って、ちょっとだけ思うようになったんです。
でも自分だけで考えていても、よく分からなくて ・ ・ ・ ・
そして、お話しにいらっしゃいました。
この方は、親御さんとの関係が
まったく無関係だった、と
おっしゃる訳ではありません。
ただし、
それだけだったのかな、と
思うに至った。

たとえば、次のようなお話を、
実際に伺う機会があります。
●●●セラピーというものを受けて
あなたはアダルトチルドレンだ、
共依存だ、と云われ
自分でもそうだと思うようになって、
トラウマを消し去るために、
という理由で
いろいろなワークを行なっていく。
そして最後には、
親と対決する必要があると云われて、
「あの時、こう云われた」
「こんなことをされて辛かった」
「わたしがこうなったのは、
全てあなたのせいだ!!」 と
恨みや怒りを繰り返しぶつけて、
親に謝罪をさせる。
そうしてみて、
確かに、恨みをぶつけている時は
スッキリもするけれど
今も自分は何も変っていない。
誰もhappyになっていない。
結局、自分自身の問題や悩みは
なにも解決されていない
・・・というものです。
中には、
こうしたことを繰り返すことで
かえって精神的に不安定になって、
精神科クリニックに通院する方も
稀にですが、いらっしゃるようです。

| 見えないものの中に |
わたしたちの心や内面は、
複雑系の世界です。
そして心とは、
形がなく目には見えないものです。
形もなく、目にも見えないので、
それをどのように云うことも
可能かも知れません。
カウンセリングとは、
形のないもの・
目には見えないものの中に
見落とされてしまった形と
新しい命とを、
共に見つけてゆく営みでありたい、と
思っています。
そうでありたい、と願っています。
カテゴリー【始まりの物語】