
いろいろなストレス症状
ストレスを受けたり
フラストレーションが続いて、
心身のホメオスタシスが掻き乱されたり、
(生体の平常状態)
維持し難い状態になると、
わたしたちの心身では、
それを回復させる動きが
生じることになります。
つまり、受けたものを何らかの形で
外に排出しようとする働きです。
これらをまとめて
「ストレス症状」と呼びます。
ストレスのデトックス、
とも云えるかも知れません。

ちなみに、どのような事柄を
どの様なストレスと感じるかは、
誰にも共通する部分と、
個人差の大きな部分とが存在します。

| ストレス排出の三系統 |
排出するためには、
わたしたちには
三つの系統が与えられています。
その三つとは、
○ 精神的なものとして・
○ 行動に現わすものとして・
○ 身体に現わすものとして・
ストレス症状は、この三つの系統で
現れることになります。
このことを
理解しておく必要があります。
それぞれを、
精神症状・行動症状・身体症状
と呼んでいます。

■ 初期から現われる症状の例
・目が疲れやすい。肩がこる。
・背中や腰が痛くなる。
・朝気持ち良く起きられないことがある。
・頭がスッキリしない、頭が重い。
・立ちくらみをしそうになる。
・夢をよく見るようになる。
・手や足が冷たくなることがある。
・食後に胃がもたれることが多い。

■ 慢性時に現われやすい症状の例
・なかなか疲れがとれない。
・何かするとすぐに疲れる。
・お腹が張ったり下痢や便秘がよくある。
・少しのことでイライラしたり
腹が立ったりする。
・人と会うのが億劫になる。
・仕事をする気が起きない。
・歯茎が腫れる。口の中が荒れる。
・最近体重が減った。
・深夜によく目が覚めたりする。
・好きな物でも余り食べる気がしない。

「初期から現れやすい例」では、
心身のストレスや疲労感を
解消し切れなくなっている徴候です。
信号であれば、
緑から黄色になりかけている状態です。
一方の
「慢性時に現れやすい例」では、
精神的に重圧を受け
心身の疲労も重なって、
精神的に
余裕がなくなっている状態です。
それはあたかも、
救急車や消防車が
忙しく走り回っている状態です。
これ以上どこかで事故や火災が起きたら
対応できなくなりそうです。
| 安保徹氏の体験から |
著名な免疫学者の故・安保徹氏が
こんな自体験を記しています。
1999年に私の研究室の隣の部屋で火事が発生し、研究室すべ てが全焼してしまった。放水の為にすべて水浸しになってしまった。
それから半年間、私の血圧は上が180~170、下が120~110。これがずっと続いたのである。人間のストレスとはこれほど凄いものなのだ。
つらい半年ではあったが、みずから経験したことで、とても勉強になった。ストレスがどれだけ病気を作るかについて、身をもって体験したのである。
まずその時から耳鳴りが始まった。そして目の前にずっと蚊が飛んでいた。いわゆる飛蚊症(びぶんしょう)である。
加えて肩コリ。半端な肩コリではなく、首が回せなくなってしまった。
そして尿が一度に出きれない。残尿感があって、残った分が歩いているうちに出てしまい下着を濡らす。
あとは不眠である。寝汗もかいた。でも症状をひとつひとつ噛みしめながら、薬は飲まなかった。
耳鳴りや飛蚊症は(交感神経亢進による)血流障害が原因であるし、尿を出し切れないのは、交感神経緊張状態で副交感神経が抑制され、排尿がスムーズに行なえないからなのである。
安保徹 免疫学者

| ひとりで背負っている |
誤解されているかも知れませんが、
つらいストレス症状は
心が弱いからなるのではありません。
むしろ、
ひとりで背負って頑張っている人。
ひとりで頑張らざるを得ない
心境や状況になっている人に、
起こることが多いものです。

| 身体からのストレス症状 |
上にも記したように、
ストレスの排出には
安保徹氏のケースにもあるように、
身体症状として
身体に現れるものが存在します。
身体に現れたストレス症状は、
その状態像によって
〝自律神経失調症〟と呼ばれたり、
〝神経症〟と看做されたり、
〝心身症〟されることがあります。
いずれの場合であっても、
共通しているのは
薬だけの治療や対応では、
良くならないことが多い
・・・ということです。
身体的な病気として治療されているけれども、発症や経過に心理的・精神的な要因が強く関わっていて、たんなる薬物治療だけでは治療効果が思ったように上がらない
悟郷 晋浩 心療内科医
■ 身体症状
病気とまではいかないような
自律神経系の身体症状から、
身体の病気として現れる心身症まで、
さまざまな症状や状態像として
あらわれることになります。
血行不良による諸症状。
( 冷え症・傷の治りが遅い 等 )
傷を修復する時には酸素と
さまざまな修復物質が必要です。
それらは血液によって供給されます。
倦怠感 動悸 便秘・下痢 吐気と嘔吐
腰痛 片頭痛・緊張性頭痛 頻尿意
皮膚のかゆみ 肩こり めまい 耳鳴り
緊張性の発汗 飛蚊症 蕁麻疹
湿疹 円形脱毛症 メニエール症候群
過喚起症候群 慢性疲労症候群
顎関節症 過敏性腸症候群
微熱 突発性難聴
一部の不整脈 逆流性食道炎
肌荒れ イボ 魚の目 ガングリオン
痔 歯茎の腫れ 歯槽膿漏 口内炎
ヘルペス 帯状疱疹
脂肪肝 高血糖症 糖尿病
(本態性)高血圧症 甲状腺の異常
リウマチ 心筋梗塞 胃潰瘍
十二指腸潰瘍 潰瘍性大腸炎
本態性とは、要するに
原因がよく分からない、という意味。
生理不順 その他
・・・・・・・・・・・・

上に記したものは一例であり、
様々な症状として現れます。
自律神経失調症では、交感神経が過剰になるか、副交感神経の働きが減退するかになります。
その結果、動悸・立ちくらみ・ふらつき・発汗過多・血圧上昇・片頭痛・肩こり手足の冷え・疲れやすさ、など多彩な症状が起きてきます。
自律神経失調症は、あらゆる臓器に起こ得るので、あらゆる症状があると言っても、差し支えないでしょう。
渡辺正樹 神経内科医
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心身症となると、
肩こり・頭痛から糖尿病、
くも膜下出血・心筋梗塞まで
あらゆる身体の病気が
心身症としてあらわれます。
| あせり症候群とは |
あせり症候群とは、
次のような状態を云います。
■ 小さな問題や出来事を、大問題のよう
思い悩んで、精神的に自分を追い詰め
ていく。
■ 抱えている問題や悩み事を、一気に
解決しようとして、突発的な飛躍し
た行動に走る。
あせり症候群は、日常の中でも
しばしば見られるものです。
しかし自分自身では、
そうした精神状態になっていることを
自覚できません。
わたしたちは、焦った心境になるほど
前の一点しか
見えなくなるからです。
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