カウンセラーとしての仕事

カウンセラーには、
ご相談者との関わりの中で、
どのような事ごとが
大切になってくるのでしょうか。

それを優れた臨床家・治療者の言葉から
想像してみたいと思います。

下記の文中にある
「精神療法」「治療」をカウンセリングへ、
「治療者」をカウンセラーへ、
「患者・クライエント」をご相談者へ、と
読み替えていただけたら、と思います。




治療者は、患者を積極的に担おうとせずに、
空が飛ぶ鳥を支えるように、水が泳ぐ魚を支
えるように、大地が歩む人を支えるように、
支えるべきである。
 バリント

治療者は、クライエントの行くところへ、
何処までもついて行かなくてはならないの
です。

 フロイト

心理療法家は、自分自身の治療を終えたとこ
ろまでは、クライエントを援助できます。
いいかえれば、自分自身の治療を終えていな
い間は、治療者は、本質的にはクライエント
の治療ではなく、自分自身の治療を延々と続
けている、ということです。
 光本和憲

心理療法(カウンセリング)に志す者なら
青年・壮年期には一日七〜八時間、臨床に

打ち込める時間が持てたら幸せです。
職人やスポーツ選手の世界では、天賦の才
に加えて、とことん修練を重ねた者が名人
と呼ばれるようになる。心理療法の世界と
て例外ではないでしょう。
難しい例も敬遠しないで多数例の経験を積
まなくては、いつまでたっても、腕の立つ
理療法の職人にはなれないと、信じます。
 下坂幸三

自分自身の身分が不安定で、Aという場所に
六ヶ月、それからBという場所に一年、とい
う具合に転々としながら心理療法をする。そ
ういうこと自体がナンセンスです。
心理療法というものは、そもそも、患者の気
持ちの安定化をはかるというのが第一歩です
から、治療者の身分が不安定で、渡り鳥みた
いだったら、それはいかに達人と言えども、
よい治療はできません。
 下坂幸三

精神療法は小手先や口先の技術ではない。
精神療法にはいろいろな流派(○○療法の類い)
があって、競い合っている。この狭い意味の
精神療法は、広い意味の精神療法に支えられ

ていなければ、害あって益はない。
広い意味の精神療法とは、患者・クライエン
トに対する一挙一動であり、たとえば呼びか
けるときの声の調子や、医師であれば薬を渡
す手つきへの配慮を含むものである。
これが分ってなくて、狭い意味の精神療法ば
かりを身につけた人は、誰であろうと患者・
クライエントに対して、かなり「危険な治療
者」である。

 中井久夫

精神療法には、狭い意味と広い意味とがある。
狭い意味の精神療法は、森田療法・認知療法・
精神分析療法・行動療法・内観療法などなど、
それぞれ特別の名で呼ばれている。
これに対して広い意味の精神療法は、治療者
の一挙一動に始まる。そして治療の場で起こ
る患者の言動と治療者側の言動が、治療上ど
ういう意味をもつかを考えてゆくことである。
こちらの方が、実はとてもむずかしい。
それ
は登山をする人ならば思い当たることだ
ろうが、「この岩は手をかけても大丈夫だろ
か。この凹みはどう用いるのが良いのか。

ここは滑りやすいから気をつけよう。この
ルートは一見よさそうだが、あそこのオーバ
ーハングで行き止まりになりそうだ

などと
考えながら、一歩一歩進んでいくこと
である。

この広い意味の精神療法がしっかりしていな
いのに、狭い意味の精神療法をおこなうこと

は危ない。また質問にもこの配慮がなくては
ならない。
質問には、すでに治療力、だから
破壊力もある。
逆にこの広い意味の精神療法
がしっかりして
いる人ならば、その人が狭い意味の精神
が何であろうが、その人の一挙一動から
を学ぶことができる。
 中井久夫

 会場からの質問
性急に結論ばかりを求め、しかも自分の都合
のよい結論が出ないと納得しない人が、増え
て来たような気がします。
じっくりとクライエントと向き合って、悩み
を傾聴するなど、これまでの精神療法的なア
プローチに限界を感じることがあります。

 神田橋條治
精神療法的なアプローチというものに、誤解
があるようだね。

じっくりと自分の問題と向き合って、自分の
心を傾聴するような姿勢を相談者の中に育て
るのが精神療法。治療者が傾聴するのは、
そのモデルを示していることなんだ。急いで
結論を出さないという人間の姿のモデルを示
して、そのモデルを相手の人の中に育ててい
って、やがてその人が自分の心に耳を傾けな
がら、考えていけるような人になるというこ
となの。
でも、そもそもそれが出来ないのよね。治療
者のほうがせっかちで忙しくて。

われわれ(臨床家・治療者)は、活字信仰を
捨てて、自分の体験、それから仲間との話し
合い、それからか先達から伝えられたこと、

そういうまさに、人と人との直接的コミュニ
ケーションから得た経験、体験、知識という

ものを大事にしていくことが非常に必要だろ
うと思っています。
 下坂幸三

わたしたち(臨床家・治療者)を守ってくれ
るのは、無名性である。ほんとうの名医は名
医とは思っていないで、日々の糧のために働
いていると思っているはずである。しかし、
ベテランでもライバル意識や権力欲が頭をも
たげると、とんでもない道に迷い込むことが
ある。これらは隠れていた劣等感のあらわれ
である。特別の治療の才を誇る者が、もっと
もやっかみの強い人であるのは、民間治療者
だけではない。
 中井久夫


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