神経症からの回復

神経症・カウンセンリグと治療



ここでは、神経症についての
一般的な解説などではなく、

神経症の症状の改善・
神経症からの回復を

カウンセリングを通して
お考えの方に向けて、書かれています。

少し長めですが
お読みいただけると、幸いです。


| 神経症というもの |


「神経症」と呼ばれている
症状や状態があります。

昔は「ノイローゼ」と
呼ばれることがありました。

一般に、神経症というよりもノイローゼ
のほうが通りがよいであろう。

しかし、このドイツ語は、もともと神経
症を指す言葉だったが、日本にはいって、
意味がぼやけてしまった。

        中井久夫 精神科医


しかし最近では、

「神経症」という用語は
余り使われなくなっています。

ただし、
言葉が使われなくなったのは

神経症がなくなったから、
ではありません。

社会環境や生活環境が
激しく変化している中で

むしろ増えているように思います。

ちなみに、
私たちの仲間である動物園の動物にも、

神経症やストレス症状が
広く見られることが知られています。

| 診断名の細分化 |


神経症は、
いろいろな症状として現れます。

人の数だけ症状がある」とも
云われる程です。

そのため、「神経症」という
大きな括りでなく、

症状ごとに、

細かく診断名・病名をつけて
呼ぶ傾向になっています。



神経症と呼ばれる分野は、あまりにいろ
いろな症状があり、
しかも「生まれつきの体質や気質」が原
因として大きいもの。「最近の出来事や
悩み」が原因として大きいもの。
「心の働きの癖」が原因となっているも
のなど、さまざまです。

ですから、神経症という大雑把な呼び名
を廃止して、
症状ごとのたくさんの診断名に分けた方
がよい、と考える傾向になっています。

       神田橋條治 精神科医

ですので、
病名や診断名にこだわっていても
余り意味がありません。

| こんな症状も |


ひと昔前までは、

「知らない間に犬のフンを
 踏んでしまうのではないか」

という不安な想念が
頭から離れなくなって、

外を歩けなくなる症状の方が
いらっしゃいました。(強迫症)


あるいは、
いつも人の顔色が気になって

「嫌がられたんじゃないか。
 こんなことを云ったら、どう思われる
 だろう・・・」

「自分の言動が(相手を)不快な思いに
 させたんじゃないか」

・・・このようなことが
人と接していると常に不安となり、

やがて、
そうした不安感が
いつも頭を占めるようになって、

人との関わりが
思うように出来なくなったり、
自由に話せなくなってしまう。

そのような神経症症状の方も
いらっしゃいます。(対人恐怖症)

| 神経症からの回復 |


臨床経験があれば、容易に分かることで
すが、マニュアル的な治療では、殆ど
上手くいきません。
個別的で複雑系である人間の心は、マニ
ュアル的な治療では、上手くいかないの
です。

      河野友信 心療内科医


神経症からの回復を、

カウンセンリグを通して
ご一緒に考えてゆく時に

とても大切になることの一つは、

症状を取り除くこと」を
直接の目的・目標にしたり、

あるいは、
症状がなくなること〟にしか

両者(カウンセラーとご相談者)の目が
向かずにいると、

深い森の中に
道を踏み迷うようなことが

起きてくる場合があります。



神経症のパターンは、すべて好ましから
ざるものである、と見なされがちである。
しかし、この見方は治療には役立たない。

好ましくないとして始める治療が、
どのような経過をたどるかは、すでに
日常目にする通りである。

      神田橋條治 精神科医


神経症に限らないことですが、

〝症状〟とは深い意味において

何か大切な意味があって、
あるいは、もしかすると
何か必要があって

現れ出ているのかも知れません。

そして〝症状〟というものは、
鬼ごっこのように

追いかければ追いかけるほど、
逃げて行くものです。



そういう意味からすると、
(少しおかしな云い方になりますが)

〝症状〟の意味を大切にしてゆく・・・

そのことが、もしかすると
回復へ歩んでゆくための

大切な一歩に、なるかも知れません。


症状の羅列をもってして、その人を理解
することなどは、ありえない。
症状には、それなりの意味があり、歴史
があり、必然性があってあらわれてきて
いるのであろう。
そういった背景を無視することは、臨床
家のなすべきことではないのである。

       小倉 清 精神科医

| 自ずから回復してゆく形 |


神経症の症状は、
(意外に思われるかも知れませんが)

無くそうとか、取ろうと思って
消えてゆくものではなく、

気がついたら、いつの間にか消えていた。
あるいは
気がついた時には軽くなっていた・・・

そうした治り方を
サポートしてゆくことが、

最も大切な治療行為となる
・・・というふうに、

昔から、
優れた治療者・臨床家によって
語られています。



言葉を換えるなら、

「〝症状〟をすべて
 取り去らなくてはならない」などの

「0か100か」「白か黒か」的発想は、

それ自体が
強迫症的な発想ですし、

カウンセンリグの場が
そのようなものになる事は、

カウンセリングを、ひどく有害なものに
変えてしまうことになります。


強迫症状に悩んで
カウンセリングにいらしていた方から、
ある時

病院でのカウンセリングに行っていた時
には、症状の話ばかりだったけど、ここ
だと、症状のことだけでなくて、いろい
ろな話を聞いてもらえるので、自分に合
っている。


そう云われたことがあります。



一方で、
安永 浩氏は
次ぎのようなケースを記しています。

長年の神経症症状が見事にとれて
医師・本人ともども喜び合ったのに、
突然自殺を遂行する、といった
ショッキングな例も実際に存在する。

      安永 浩 精神科医


著名な精神科医の木村 敏氏も
このような体験を記しています。

私は以前、自分が診察していた若い患者
さんが、症状が取れたとたんに自殺をし
てしまったという、苦い経験をしたこと
がありますが、この経験から、十分な治
療関係が築かれてゆく前に、症状だけを
治療するのは、ときとして非常に危険な
ことだ、という教訓を得たように思って
います。

             木村 敏


もうこれ以上、良くなりたくない

治りたいと思っているはずなのに、
 (症状が)なくなってしまったり
 良くなってしまうのが
 とっても不安なんです


良くなってしまったり、解決してしま
 ったら、 いま迄の時間がすべてムダ
 だったという気持ちになってしまう


久しぶりに思いっきり食べて吐いたら、
 まだこんなに吐けるんだと思って安心
 した



これらは、
ご相談者の方たちが
自ら語ってくださった言葉です。

意外に思われるでしょうか?

もちろん、みなさん
ご自分の状態に悩んでいらっしゃるし、
苦しんでいらっしゃいます。

ですから
カウンセンリグにもお越しです。

と同時に・・・

カウンセンリグが進む中で
ある時
もう一つのご自分の気持ちに気づき、

それをご自分の言葉で
語るようになられた方たちのほうが、

(多少時間がかかったとしても)

良い方向へ歩んでいらっしゃることが
多いように感じています。


故・下坂幸三氏は、
このように語っています。

症状が良くなってくると、だんだん患者
さんは、それをためらうようになります。
なかなかそれ以上進まない時期が来るよ
うになります。

フロイトはそれでいいんだと言いました。
無理に症状を治そうとしなくていいよ。
症状を温存しながら、気持ちのありよう
を、少しずつ消化していくことが大事だ
よと ・ ・ ・
  下坂幸三 精神科医・心理療法家




| よく見られる診断名 |


昔から、神経症で
よく見られる病名としては、

強迫神経症(強迫性障害)。

対人恐怖症と呼ばれてきた
社交不安障害。

対人恐怖症は、日本独得の神経症である
と言われたこともあったが、アメリカで
シャイといわれる人は、このアメリカ版
である。

       中井久夫 精神科医

不安神経症。自己臭。不安発作。

離人症・離人神経症。

神経症性うつ・抑うつ神経症。

恐怖症と呼ばれるもの・・・
たとえば
閉所恐怖症・先端恐怖症 などなど。

摂食障害。過食・嘔吐。

リストカット、アームカットなど。

こうした症状・診断名が
すぐに浮かんできますが、

その他にも
様々な症状・診断名が存在します。

しかも、同じ症状や病態が

別の病名に衣替えされことなども
しばしば起きてきます。

ですので、
「病名」にこだわっていても
余り意味がありません。



身体の機能障害、
として現れる神経症も存在します。

機能障害とは、肉体や神経などには
具体的な病変や異常は
見られないにもかかわらず、

その働きや動きの面で
変調を現すことを意味します。

ちなみに、
身体の機能障害として現われる
神経症を総称して

「転換型」と呼ばれて来ました。


「いまは、昔のような転換型の神経症が
 見られなくなった」とも言いますが、
この病名が避けられ、心身症あるいは
境界例と命名する傾向があります。
その方が治療者にとって安心できるから
かも知れません。

       中井久夫 精神科医

著名な精神科医・中井氏が、
このように
さりげなく皮肉を述べています。

つまり、
心身症だったり境界例とすれば、

治療が上手くいかないのは仕方がない、
という大義名分になる
という意味です。


| 機能障害としての神経症 |


たとえば、
脚や膝が動かせなくなったり。

身体の一部が
麻痺(マヒ)したようになったり。


これは機能障害とは違いますが

比較的よく見られる
神経症の症状の一つとして、

ノドに何か引っかかる感覚が取れない。
ノドに異物感がある、

という体感神経症があります。

心身症としての病名では、

「咽喉頭異常感症」という
いかめしい名が付いていますが、

ヒステリー球」と呼ばれます。

書痙(しょけい)と云って、

字を書こうとすると
手や腕が強張り振るえて、
字を書けなくなる症状もあります。

スポーツ選手の「イップス」も、
これに含まれるでしょう。

役者さんの中には、

セリフを喋っている時に
急に口が動かなくなる症状に
苦しむ方がいらっしゃいます。

ジストニアと診断されます。


たとえば
歌手の田辺靖男さんのケースも、
こうした病態だったかも知れません。



ある朝、仕事に行くために玄関を出て、
歩こうとしたとき、両足の付け根に激し
い痛みが走って、そのまま一歩も歩けな
くなってしまった。足を踏み出そうとす
ると激しい痛みが襲ってくる。

すぐに病院へ連れていってもらい、その
日から車イス生活。

通院しながら、病院でありとあらゆる検
査をしたけれど、どこにも異常が見当た
らない。「原因不明」と告げられた。

そこで、すぐに入院するよう云われた時、
奥さんで歌手の九重佑三子さんは、
「原因が分からず、治療法もないという
なら、入院させる意味がありません」と
云って、自宅に連れて帰って来たといい
ます。

その日から、自宅で夫婦二人三脚で養生
をしていく中で、また元気に歩けるよう
になり、1年後に仕事に復帰したという
ことです。

玄関から出ようとして歩けなくなる暫く
前から、体調の変調があったと云います。
たとえば、あくびが出て仕がない。とに
かくあくびが出る。

それから歌詞が覚えられなくなっていた。
ぜんぜん歌詞が頭に入ってこなくて、ス
テージに出てもうまく歌えなくなってい
たけど、忙しかったので、とにかく仕事
をこなし続けていた、と云います。


もしかすると
発症のしばらく前から、

疲労とストレスによって、

なんらかの葛藤状態に
いらしたのかも知れません。

奥さんの九重佑三子さんは、
「絶対に治る、良くなると信じていた」
と語ります。

もしかすると奥さんは、

ご主人を見ていて
何かを感じていたのでしょうか。

ただし、一見神経症ではないかと
見まかうような機能障害が

中枢神経の疾患による場合もあるため、
まず検査が必要です。

| 〝遠回り〟が近道 |


神経症に限らず
回復に一直線は禁物です。

寄り道をしながら、時々休憩して
道端の草花を眺めながら
歩いてゆきます。


遠回りに思われるでしょうか。

でも遠回りに見えて

結局は一番の近道、ということは
案外多いかもしれません。


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