
『カウンセリング森のこかげ』です。
スポーツ選手の
メンタルトレーニングとして、
イメージトレーニングやコーチング、
認知再構成法、NLPなどは
よく知られています。
しかし選手が
大事な競技や試合の本番で、
自分の持てる力(潜在能力を含め)を
最高に発揮するための心理的条件というのは、余り知られていません。
この記事では、
それについて記してみたいと思います。
こちらのページをご覧ください。
実力を発揮する心理的条件 :
スポーツ選手の場合
スポーツ選手が
自分の記録を伸ばすような、
あるいは、
実力を十分に発揮するようなパフォーマンスを生むためには
心理的な面から見たときに、
次のいずれかが必要とされています。
ひとつには、
コーチによる「献身的な関わり」を深く感じ、
同時に、
自身もコーチへ「全幅の信頼」を寄せ、
コーチの「献身的な関わりと期待」とに応えたいと、
強く願っているとき。
もうひとつは、
周囲の目や他人の思惑がどうであろうと
「自分自身を信じる」
という意識に気持ちが向いているとき。
選手が力を最高に発揮するためには、
心理的な面からは
このいずれかにあるときだと、言われています。
逆に云えば、
人から賞賛されたい。
そのためにも、
相手に勝ちたい、失敗したくない。
そうした
「人に認められたい」という気持ちが
意識の前面に出ている時、
筋肉や身体に過度な緊張を生み、
結局は、望むようなパフォーマンスを発揮することは出来ません。
北口榛花選手のケース : 選手-コーチの理想的な関係性
理想的な選手-コーチ関係の例として、
北口榛花(はるか)選手と
シェケラック・コーチの関係を、取り上げたいと思います。
北口選手は、ご存じのように
パリ五輪のやり投げの金メダリストです。
北口選手は大学入学後に
師事していたコーチが退任して、それからずっと一人で競技を行っていました。
そして、2018年の日本陸上選手権で予選落ち。
そんな悩める時に、
世界のやり投げ競技の関係者が集まる場で出会ったのが、強豪国・チェコのシェケラック・コーチでした。
シェケラック・コーチは、ユースで優勝経験を持つ北口選手の存在を知っていました。
GROWINGの記事から
「すぐに名刺を交換して、日本に帰ってきてからメールを送りまくって(笑)、まずは1か月間、チェコで一緒に練習させていただきました」そう北口選手が語ります。
「下半身の使い方」の改善。どのコーチにも指摘される課題だったが、それまでは「求められることが難しくて、私の足ではそんなことはできない」と、北口選手は苦しんでいた。
シェケラック・コーチがそれまでの指導と違ったのは、「できないと言ったら、少しレベルを下げて教えてくれました」と。
北口選手に寄り添い、導いてくれた点だ。結果はすぐに実を結んだ。1年に2度も日本記録を打ち立てた。
日本陸上競技連盟の記事から
(北口選手はこう語ります)長い移動もたくさんして日本に来てくれたりすることも、チェコに家族もいながら、教えている子もいながら、私のためだけにそういう行動をとるのは、なかなかできないことだと思うので、すごく感謝しています。
(世界選手権が行われる)ブダペストは、コーチの計算ではチェコから近くだといって、車で来る気でいるみたい。600kmもあるに(笑)。
コーチと意見をぶつけ合い
ケンカすることもある、というふうに語っています。
追記・・・・・
北口選手は金メダル達成後に、
大きなものを達成した後の虚脱感と
精神的な空白感とに襲われたようです。
右肩の怪我も、それと無関係ではないかも知れません。
しかし、
2025世界陸上での予選落ちに直面し、
さらなる飛躍への思いが生まれ、
ここまで育ててくれたシェケラック・コーチに
深く感謝しながら、
新たなコーチのもとで再出発を決意しました。
シェケラック・コーチとの出会いの時もそうでしたが、
北口選手の飛躍の契機には、
〝予選落ち〟による危機感が
必要なのかも知れません。
北口選手が教えてくれること : 〝自己信頼心〟の重要性
北口選手とシェケラック・コーチの話は、
むしろ、次のことを教えてくれます。
それは上で挙げた二つ目のもの。
周囲の目や他人の思惑がどうであろうと
「自分自身を信じる」
という意識の重要性です。
何故なら、北口選手のような
理想的なコーチ-選手関係は、
誰もが望んで手に入れられるものではありません。
とても幸運で稀なケースです。
むしろ現実は
コーチや指導者との関係に悩んだり、
傷つけられていることも多いようです。
であれば、
「他人や相手がどうであろうと
自分を信じる」という自己信頼心が、
とても重要なものになります。
そのためには
単なるメンタル・トレーニングではなく、
個人個人の心の個性に合わせた
〝カウンセリング的支援〟が、
大切になる場合もあるはずです。

傷つき体験の繰り返しと抑うつ傾向
これはわたしが、
心理テストに携わっている大学教員の方から
直接お聞きしたものです。
ある国立大学でのケースですが、
入学してきた体育系・スポーツ系の学生の心理テストをおこなうと、
その六割に、
すでに「抑うつ傾向」が見られるといいます。
競技生活の中で
傷つき体験を重ねることで
すでに軽い抑うつ傾向になっている。
心理テストから見ると
元気でハツラツしているのは二割くらい。
この割合は毎年変わらないそうです。
引退したりスポーツから離れた後、
うつ状態に陥ったり、
過食嘔吐や摂食障害、嗜癖行動などに陥っていく方たちの話も、お聞きしています。
こうしたことを考えてみても
一部のエリート選手だけではなく、
ひとり一人の選手の
〝人生を視野に入れた上での心のサポート〟が、とても大切になっていきます。
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