
燃え尽き状態とうつ(鬱)の関係
| はじめに |
「燃え尽き状態」あるいは
「燃え尽き症候群」という言葉を
お聞きになると思います。
人が精神的な燃え尽き状態に陥ると、
「症候群」とあるように
様々な非特異的症状が現れてきます。
そうした症状の中に
うつ(鬱)・・・
専門用語では「抑うつ」症状が
必ず付き添ってきます。

| 非特異的症状とは |
「非特異的症状」というのは
次のような意味です。
たとえば風邪ですと、
咳や鼻水・発熱・喉の痛みなど
複数の症状が現れて来ますが、
しかし、咳にしても鼻水にしても、
そして発熱なども
その症状自体は
「風邪の時にしか現れない」
・・・というものではありません。
いろいろな病気で現れますし、
しかも病気とは関係なく
見られることも多いものです。
そうした症状のことを
「非特異的症状」と云います。
そうした非特異的症状の中に
うつ(鬱)が存在します。
そして、うつとは俗称で、
専門用語的には
抑うつ(よくうつ)症状と云います。
抑うつとは、
症状名であり病名ではありません。
「胃痛」が症状名であって
病名ではないように。
そして、燃え尽き症候群の中心に
抑うつ症状が存在することになります。

| 燃え尽き状態とは |
カウンセリングから見た時に、
燃え尽き状態には
次のような心の形があります。
その人なりに
「こうなっていきたい」
「自分はこうでありたい」
・・・という思いや希望を持って、
悩んだり苦しんだりしながらも
頑張って来たにもかかわらず
その結果として
虚しさや無力感・
深い疲労感や徒労感などを
癒しがたく抱えるに至った状態。
〝燃え尽き〟の背後には
このような心の姿が存在します。
それ故に、抑うつ症状が
必然として生じることになります。
| 〝意味〟が失われる |
燃え尽きた状態になるにつれて
人は、自分がやっている事に
意味を見出せなくなってゆきます。
人は生きてゆく上で
〝意味〟というものを
どうしても必要とする生き物である。
・・・文学でも哲学でも
昔からそう語られています。
その〝意味〟が見失われてゆきます。
そしてむしろ、そんな自分を
かえって〝ダメな人間〟だと
自分で自分を責めるような事が
起きてきます。
燃え尽きが深くなってゆくと
自分自身の〝存在感覚〟すら
希薄になっていきます。
このように、燃え尽き状態に陥ると
程度の違いはあっても
抑うつ症状が付き添ってきます。
燃え尽き状態は
メンタルヘルスの関係から、
どうしても視点が
仕事や職場に偏りがちになります。
しかし、家庭生活や夫婦生活・
学校生活の中でも、
当然に起きてくる問題です。
カテゴリー【心と身体】