考え方を変える、が意味するもの
たとえば、
友だちや同僚、夫婦の間でも
同じ愚痴を繰り返し聞かされた時など、
「考え方を変えたら?」・・・
的なことを、
云ってしまうことがあります。

| 考え方を入れ替える? |
考え方を変える・・・
確かに、そうだと思ます。
しかし一方で
その言葉を考えたときに、
こんな印象を持つのも事実です。
どのような印象かいうと・・・
「考え方を変えましょう」という
〝考え方〟の背後には、
「考え方」というものが、
あたかも
カートリッジを入れ替えるようにして
取り換え可能なもの。
そういうイメージや考え方が
あるのではないか ?
・・・という印象です。
この考え方が合わないから、
じゃあ、こっちのを持って来て、
これとコレを入れ替えましょう。
・・・みたいに。
しかし果たして
〝考え方〟というものは
そんなふうに
カートリッジを入れ替えるようにして
取り換えが可能なもの、
なのでしょうか。

| 自ずから生まれてくるもの |
ただの〝考え方〟という
漠然として
抽象的なものはありません。
普通は、
具体的な何かに対する考え方
という形をとります。
その意味からすると、
〝考え方〟というものは
〝(それに対する)見方〟が先に在って、
その〝見方〟から、自ずから
生まれてくるものに過ぎません。
認識(見方)があって、
そこから
判断や解釈(考え方)が生まれてきます。
あるものに対する見方

それに対する考え方
| はじめに〝見方〟がある |
〝考え方〟は〝見方〟というものと
ワンセットになっています。
それが人間の認知の仕組み
として在るものです。
〝考え方〟の部分だけを、
カートリッジのように
入れ替えることはできません。
たとえ入れ替えたように装ってみても、
すぐに化粧は
剥がれ落ちてしまいます。
ですので
考え方が変わるには、
〝見方(認識)〟が変化したり、
深まったりする必要があるのです。
見方が変われば、
そのものに対する考え方も
自ずから変わるからです。

| 気づきと云われるもの |
たとえば
あるものに対して、
それまでは「山」だと思っていた。
「山」として見ていたので、当然
山としての考え方をしていた。
でも、もしかすると山ではなくて
「湖」だったのかも知れない。
それは実は「湖」だったんだ
・・・となった瞬間に、
考え方も変わってゆきます。
この一連の認知の変化を指して、
「洞察が深まる」と云ったり、
「認識が深まる」と云ったりします。
カウンセリングで云われる
〝気づき〟というものも、
理屈の言葉に言い換えると
見方や認識の
変化や深まりがもたらす〝直観的な洞察〟
・・・を意味しています。
気づいてみれば、なんでそんなこと
と思うことでも、
気づく、見方が変わるというのは、
結構大変なことなのですね。
面談を続けてこられて
そうおっしゃる方も、いらっしゃいます。
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