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何かが変わりはじめたとき
私たちの心には、さまざまな気持ちが生まれてきます。
ときには、戸惑いや不安
そして、ためらう気持ちが
生まれることがあるかも知れません。
そうした気持ちひとつひとつを、
カウンセリングでは大切にしています。
そのことを
ご相談者の実際の言葉を交えながら
お伝えしています。

自分の心と出会う旅
ご相談者の方と何回か面談を重ねる中で
次のようなお話を
お聴きすることがあります。
**これ以上進みたくない。このままの自分でいたいって思うんです。**
**どっちが本当の自分なのか、分からなくなっている。
こうして(カウンセンリグで)考えてゆくことで、楽になるかも知れないし、変わるきっかけになるかも知れない。
そう思う自分もいれば、次の日には、なんだか進みたくない気持ちになったりして。行ったり来たりしている自分がいます。**
**自分は本当に、良くなりたい立ち直りたいと思っているんだろうかって考えると、やっぱり心の底では、今のままでいたいと思っているような気がします。**
**もうこれ以上良くなりたくない。**
お読みになって意外に思われるでしょうか?
しかし、人の心に添うて
一緒に考えていきさえすれば
少しも意外な言葉ではありません。
もちろん、皆さんがこのような気持ちや心境を、語るようになるわけではありません。
たとえば
気がついたら、いつの間にか・・・
「良くなっていた
」
「あんなに悩んでいたことなのに、考えなくなっていた
」
・・・そうしたカウンセリングのプロセスを
たどる方たちも、普通にいらっしゃいます。

**楽になるっていうことが、「こうあるべき・こうありたい」っていう自分の理想を諦めること、投げちゃうことのように思えて、すごく虚しくなる。**
**これまでと違う対応をすると、なんだか自分じゃなくなったように感じがする時があって。 でも、また以前と同じ対応をしてしまう時もあって・・・これでいいような、悪いような。
うまく言えないんですけど、迷っているような、すっきりしているような、正反対の感覚を感じています。**
このような気持ちや心境を
語ってくださる方も、いらっしゃいます。
上のような心境や気持ちを
語るようになった方たちが
そこでカウンセリングをやめてしまったか、というと
皆さんそうではありません。

何かが生まれつつある時に
こうした気持ちは
夏の季節を前にして木の芽が芽吹くように
とても自然な気持ちだと思います。
さらに申し上げると
そうした気持ちを、一緒に話し合うことが出来るということが
なにより素晴らしいことのように思います。

こうした時期は、その人の中で
大切な〝なにか〟が育まれている時です。
卵を抱いている鳥は
じっと動かなくなるものです。
例えば
故・下坂幸三(しもさか・こうぞう)氏は
このように語っています。
下坂幸三 精神科医・心理療法家
症状が良くなってくると、だんだん患者さんは、それをためらうようになります。
なかなかそれ以上進まない時期が来るようになります。
フロイトはそれでいいんだと言いました。無理に治そうとしなくていいよ。
症状を温存しながら、気持ちのありようを、少しずつ消化していくことが大事だよ、と 。
『森のこかげ』では
ご相談者ご自身の中に、その時々に生まれる気持ちを大事にしながら
カウンセリングをしています。
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