
カウンセリングについての話
| はじめに |
ここでは、
カウンセリングを続けてゆく中で
ご相談者の内側に
生まれて来るかも知れない
ひとつの心の動き
・・・について、触れています。
ただし、ここで触れている心の動きは
どなたにも起きてくるもの
・・・というわけではありません。
元々のご相談の内容にもよりますし、
更には、ご相談者が求めているもの
もしくは
〝気づきの深まり方〟等によって
当然、違ってくるものです。

| 自分の気持ちに出会う旅 |
これ以上進みたくない、
このままの自分でいたいって思うんです。
どっちが本当の自分なのか、分からなくなっている。
こうして(カウンセンリグで)考えてゆくことで、楽になるかも知れないし、変わるきっかけになるかも知れない。
そう思う自分もいれば、次の日には、なんだか進みたくない気持ちになったりして。
行ったり来たりしている自分がいます。
自分は、本当に良くなりたい、立ち直りたいと思っているんだろうかって考えると、やっぱり心の底では、今のままでいたいと思っているような気がします。
・・・・・・・・・・・・もうこれ以上、良くなりたくない。
これらの言葉・述懐は、
すべて、ご相談者の方が
面談の中で
わたしに語って下さったものです。
意外に思われるでしょうか?
でも、人の心に添うて
一緒に考えていきさえすれば
少しも意外な言葉ではないと思います。

| 自分の心に添うてゆく旅 |
こうした気持ちを語って下さった方が
そこでカウンセリングをやめてしまったか、というと、皆さんそうではありません。
もちろん、カウンセリングでお話しをするようになって、すぐに、こうした気持ちや内心を
お話しになるわけではありません。
面談の期間や回数には
それぞれ違いはあるものの
いずれの場合にも、
お話しをされてくる中で
ご相談者の中に
これまでとは違う何かが
動き始めつつあるような時に
上に記したような内心を
語ってくださる気がします。
楽になるっていうことが「こうあるべき・こうありたい」っていう、自分の理想を諦めること、投げちゃうことのように思えてしまう。
そう思うと、すごく虚しくなってしまうんです。
◯◯◯のところがなくなったら、わたしらしさがなくなってしまう気がする。そう思うと悲しくなってゆく。
こりような気持ちや心境を
語ってくださる方も、いらっしゃいます。

| 春の季節に向かって |
こうした気持ち・こうした時期は
あたかも、
そこまで来ている春の季節のために
木の芽が芽吹くのと同じ様に
とても自然なこと・
とても自然な気持ちだと
わたしは思っています。

それは、
その人の内側で・その人の中で
大切な〝なにか〟が育まれている時です。
卵を抱いている鳥は
じっと動かなくなるものです。
故・下坂幸三氏は、
たとえば、このように語っています。
症状が良くなってくると、だんだん患者さんは、それをためらうようになります。
なかなかそれ以上進まない時期が来るようになります。
フロイトはそれでいいんだと言いました。
無理に治そうとしなくていいよ。
症状を温存しながら、気持ちのありようを、少しずつ消化していくことが大事だよ、と 。
下坂幸三 精神科医・心理療法家
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