【症状の捉え方】症状と徴候の意味について

臨床のはなし

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一般に〝症状〟と呼ばれているのは
「自覚症状」というものですが
もうひとつ、他覚症状とも呼ばれる
「徴候(ちょうこう)」があります。
このどちらも
適切な治療に不可欠なものです。

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ふたつの症状

臨床の観点からは
「症状」には二つの種類があります。

その二つは、どちらを欠いても
たとえば医療であれば
適切な治療が望めなくなります。

ひとつは「自覚症状」であり
もうひとつは「徴候」とされものです。

自覚症状 / 症状

自覚症状とは
本人自身が感じ・訴える症状で

これを「症状」と云いますが
正確には「自覚症状」と云います。

徴候(ちょうこう)

徴候とは、本人以外の他者が

その人の様子や雰囲気・言動などから
感じ取ったり認知するもののことで

こちらを「徴候」と云います。

徴候のことを別名
他覚症状」とも云います。

「他者によって捉えられる症状」
・・・という意味です。

ひとつの具体例として
中安信夫氏が、うつ病の診断に触れて
このように記しています。

中安信夫 精神科医
(診察時にみられる)全般的に緩慢かんまんな動作や挙動。うつむきがちで萎縮いしゅくした姿や雰囲気。苦渋くじゅうを呑み込んだような、同時に生気を失った表情。
こちらからの質問に対する即答性に欠け、返答までに間があき、途切れがちな応答ぶり。ゆっくりした抑揚に乏しい小声など。
こうした表出の観察なくしては、うつ病の鑑別診断はできない。

ここで「表出」と呼んで
ひとつひとつ挙げているものが
うつ病の患者さんが表している「徴候」です。

症候(しょうこう)学

たとえば普段の生活の中でも、

あなたは○○のように見える
と人から云われて、
自分はそんなんじゃない!」と憤慨ふんがい する
・・・みたいなことがあります。

それは「自覚症状」と「徴候」の
日常版のようなものかも知れません。

自覚症状と徴候とを一緒にして
「症候 (しょうこう)」と云います。

精神病理学でよく見かける『症候学』とは、このことです。

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症状・徴候・状態像

訴えられる自覚症状
他者が認知する徴候とを、
併せて捉えることで

医療であれば患者さんの病態を、
カウンセリングでばご相談者の状態を

理解してゆく為の手掛かりとなります。

これを「状態像」と呼びます。

したがって
「症状/自覚症状」と「徴候」とは
どちらも欠くことの出来ない、必要不可欠なものとなります。


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内と外でひとつになる

中安信夫氏(精神科医)は
このように述べています。

中安信夫 精神科医
私は長い間大学病院におりまして、多くの研修医を指導してきましたが、研修医が行なう最大のミスは、患者の表出(外に表しているもの)は〝見えても見えず〟。
患者が語り訴える症状や体験は〝聞いても聞こえず〟で、徴候と症状を、把握できないことに起因する。

ですので、実際にお会いすることなく
オンラインやお手紙・メールだけで
関わってゆくことは

片方が欠けた状態であることを
よく自覚しておく必要があります。

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