メンタルヘルスを考える 



案山子(かかし)モデルと
弥次郎兵衛(やじろべえ)モデル


「メンタルヘルス」を直訳すると
「精神衛生」となるのかも知れませんが、

現在では広い意味で、

ストレス対策としての心のケアを指して
使われることが多くなっています。

そういう意味からすると、
メンタルヘルスのあり方・姿について、

一般的に、
少し誤解したイメージが
あるように感じています。


誤解したイメージとは
どのようなことかというと、

メンタルの健康のあり方というものが

ブレないこと」だとか、
揺れ動かない」こと。

バランスを崩したりせぬよう
 自分をコントロール出来ること


・・・などのイメージで
語られていることが多いように、
感じるのです。

こうしたあり方・姿を指して
「メンタルが強い」と云ったりします。



上のようなイメージを
わたしは

案山子(かかし)モデル
呼んでいます。

案山子モデルの対照が

弥次郎兵衛(やじろべえ)モデルです。


意外に思われるかも知れませんが、

「ブレないこと」だとか
「揺れ動かない心の姿」が、

メンタルヘルスのあり方として、
わたしたちが
目指す姿ではない気がします。


たとえば
弥次郎兵衛は何かあると
たえずフラフラと揺れ動くので、

不安定に見えるかも知れません。

来るものに合わせて
時に、大きく左右に揺れ動きます。

でも、右に傾いても左に傾いても、
いつもその都度

バランスの取れる位置に
自ら戻ることが出来ます。

そのまま行きっ放しになるのではなく、

左右に揺れながら
やがて本来の自分の場所に
戻ることが出来る。

それに対して、案山子はどうでしょう。



たしかに 雨が降っても風が吹いても、

案山子は微動だにせず、
その場にしっかりと
立っているように見えます。

でもそれは、
少しでも
そして一度でも、傾いてしまえば

もう二度と自分では
元には戻れなくなるからです。

そのままの格好で、必死に
足を踏ん張り続けるしか
ないからです。

もちろん、
弥次郎兵衛にも限界というものが
自ずから存在します。

しかし
メンタルヘルスのあり方を考える時、

案山子の硬さではなく
弥次郎兵衛の柔らかさを、
目指すものであって欲しい、と思います。

そのような認識が
広く行き渡るようであって欲しいと、
思ったりします。


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